未来の君のために、この恋に終止符を。
図書館へと歩きながら、周りに不思議に思われないように気を遣いながら会話をする道のりは正直なところ面倒だ。
だけどそれよりずっと価値のある言葉を聞いたと思った。
「そうやって、毎日を楽しんでね」
つむじに落とされた言葉に導かれるようにそっと顔を上げ、晴樹を見つめる。
消えそうなほど優しい笑みを浮かべる彼をすり抜けて、太陽の光は私を貫いた。
「うん」
そう呟くように声にして、私は顔を正面に戻した。
わざわざこんなふうに晴樹が改まって願わなくたって、今の私は毎日をちゃんと楽しんでいる。
誰かと関わりながら、笑顔で過ごしている。
だけど、ふとした瞬間に思い出してしまう。
そして息をする意味がわからなくなるほど切なくなる。
『過去の俺と君を、別れさせるために来たんだ』
未来の晴樹がどれだけ優しくても、彼の本当の願いは私と別れることなんだと。
さっき自分でもよく理解したじゃないか。
未来を変えても、晴樹にはなんの問題もない。
だから別れてしまっても構わないのだと。
それなのにこんな不安定な気持ちで、心を揺らがして、……どうしたらいいんだろう。