未来の君のために、この恋に終止符を。
「……実莉?
そんなに俺のこと見て、どうかした?」
不思議そうに何度かまばたきする晴樹から自然に目をそらした。
なんでもない、と短く告げる。
昨日は、あのあと予定どおりめぐみに会って、図書館で勉強した。
普通に読書してしまったりもしたけど、基本的には真面目に課題をこなした。
めぐみがいたおかげでひとりでするよりもずっとはかどったように思う。
私の勉強は晴樹が見てくれるから普段からそんなに問題はない。
数学なら彼女よりわかっているし。
だけどそれでもありがたいと思うし、誘われたこと自体が嬉しかった。
なのに弾む心の奥では、夏のようにくっきりとした影が落ちていた。
いつでも私の中心には晴樹がいて。
そのくせ晴樹のためになることはできなくて。
だけど晴樹の幸せを願っていることには変わりなくて。
自分の行動も考えも、芯がない。
はっきりしないでゆらゆらと小舟のように、私はいつでも揺れているんだ。
そうやって迷惑をかけて、この恋を持て余している。
上手く扱うことも、制御することもできない。
喜びと切なさの狭間で私は困ったように立ち尽くしている。