未来の君のために、この恋に終止符を。




「中学の時の高橋さん、高校の時の立川さん、大学の時にも何人も。
晴樹のことが好きだと言う人たちの言葉を、想いを、どんな気持ちで私が聞いたと……っ」



高ぶった感情が実莉の言葉をつまらせた。

吐き出しきれていない想いはきっと彼女の中を巡っている。



「みんな晴樹が好きだったのに、うまくいかなくて私に言葉を投げつけていた。
そうじゃないとやっていられなかったから」



淡々としたトーンなのに、悲痛な声で言い募るようだ。

顔をそらした彼女の視線の先では無造作に放置された紅茶が色濃くなっていく。



「当然だよね。
私のせいでうまくいかなかったんだから。
私が、罪の意識で晴樹を縛ったから……」

「実莉……?」



彼女の様子がさっきまでと違うように思えて、思わず名前を呼んだ。

顔をのぞきこもうとすると、うつむいて拒絶された。

そしてそのあとの言葉に、俺は呼吸をとめた。



「あの日、晴樹と付き合わなければよかった」



なにも言うことができない俺の目の前で、実莉の頬が濡れている。

あごの先で実莉から離れてもなお、それはやっぱり実莉のものなんだ。



きらきらと光を含んで、宙を舞っていた。

涙を残して、実莉は部屋から飛び出した。





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