未来の君のために、この恋に終止符を。
「それに、俺たちは一緒にいても傷つけるだけだったから」
その言葉が胸に突き刺さる。
それは抜けることなく、じんじんとした痛みが響く。
長い間、歪な関係にすがっていた。
傷つくとわかっていながら「付き合って」という言葉を取り消さず、彼を解放しなかったのは私だ。
だから私だけならいい。
私だけなら、傷ついても構わない。
なんなら人との関わりで未来は変えられると知ったんだから、死なないようにしたらいい。
なんとかできるはずだ。
だけどこの関係で誰よりも傷つくのは、生を終えてなお傷ついているのは、晴樹だ。
たとえ死ななくても、それは変わらない。
「っ、」
別れたら、変に気を遣って生きることもない、縛られることもない、私を庇って事故に遭うこともない。
それはつまり、私と付き合っていたら晴樹は苦しんでしまう。
心が死んでしまうということだ。
「俺は実莉を傷つけたくない。
だから、別れよう」
優しい理由まで添えられた、未来の晴樹との別れ話。
いつもならかんたんに拒絶できたそれを、未来の出来事を知ってしまった今では断ることはできず、私は声を失った。