未来の君のために、この恋に終止符を。




隣を歩く現在の晴樹をなにも考えずに見上げた。

ぼんやりと視界に映す、ただそれだけでどうしようもなく幸せだ。

そして同時にとても切ない。



昨日、めぐみたちと話をして固めてきた気持ちは変わってなんかいないから。



「ねぇ、晴樹」



呟きと変わらない、小さな声をもらした。

そばにいるのは晴樹だったから聞き取れたんだろう。

そう思うほどかすかで、はっきりしない声だ。



「ん?」



機嫌はよさそうに、彼は首を少し首を傾けた。

口元は緩く結ばれる程度で、これから先にする話を少しも予想していない。

そんな人を相手にすることに、罪悪感を感じつつも話をしないなんてことはありえない。



「ちょっと寄り道して帰ろう」



ね? と声を出して、晴樹の反応を確認するより先に道の角を曲がり、いつもと違う道を進む。

それは長い間通っていない、だけど幼いころは毎日のように向かっていた道のりだ。

家の近所で、近いはずなのに懐かしくなるほど久しいこの道は、私たちの成長を感じさせる。



今は重なることのない手をしっかりと繋いでいた、あの頃の背中がまぶたに映った。

後ろからは、いいけど……と言いつつ不思議そうに首をひねる彼の気配がする。






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