未来の君のために、この恋に終止符を。




死なないで欲しい。

好きだから。



なんて単純で、シンプルなのか。

私が思うことは、散々迷惑をかけた末に残されたのはこれだけだったんだ。



だからこそ、この想いだけは自分のものでありながら美しいと思えた。

純粋な感情、湧き出る泉のように神聖で、なにがあっても叶えたかった。



それなのにどうして、



「いやだ。別れない。
……別れたくなんかないよ」



いつかの私と同じ言葉を口にするの。



その拒絶は、彼が久しぶりに示したもので、私との関わりを求めてくれるその言葉が嬉しかった。

どうしようもない幸福感に満たされて、同時に涙が出そうなほど苛立った。



私のことを好きでもないくせにそんなことを言って、私がどんな気持ちで告げたと思っているんだ。

すべては晴樹のためなのに、晴樹自身はなにも気づかず首を横に振るなんて、私はどうすればいい。

私になにを求めているというんだ。



視界の端で、未来の晴樹が顔をくしゃりと歪めた。

私も同じような顔をしそうになるのを、唇を噛み締めてこらえた。



晴樹が別れたいと言い出したはずなのに、こんなに苦しい想いをするのはどうして?

ふたりとも同じ晴樹なのに、意見が食い違うのは、どうして……?






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