未来の君のために、この恋に終止符を。
くるくると表情を変える私を見て、晴樹は笑うように息を吐いた。
空気が抜ける音を聞いて、心臓はどきどきと揺れる。
「だからね、未来を決めるのは俺自身だよ」
「っ、」
夜の闇にとけるのは、夕日のオレンジ色ではない。
それよりずっと眩しい、柔らかなぬくもりを感じる、晴樹の笑みだ。
ふんわりと宙を踊る。
「俺は実莉がいれば、それだけで幸せ」
好きな人から、欲しくて欲しくてたまらなかったものをもらった。
そうして自分も返せるだけ同じものを返して。
満ち足りた気分は、晴樹さえいれば乾くことはない。
晴樹が与えてくれたものと、自分の心の在り方で、もう大丈夫だと確信した。
未来を変えるのは人との関わりだと、未来の晴樹は教えてくれた。
だけどそれだけじゃない。
まずは人と関わった、自分自身によって変わる。
未来は自分で変えられる。
それがわかったから、もう未来に囚われることはない。
額を触れあわせ、幸せそうにまぶたをおろした現在の晴樹のうしろにいる未来の晴樹と目があった。
涙で潤んだ瞳は目を細めて、私を優しく見つめていた。