未来の君のために、この恋に終止符を。
未来の君と、現在の君
ベッドに腰かけた状態で、窓から空を見上げる。
陽の落ちたそこには、ちらちらと瞬く無数の星が飛び散っている。
星々の呼吸は、私たちが酸素を体内に取りこみ二酸化炭素を吐き出すのとは違い、なんて美しいんだろう。
ぼんやりとその姿を見つめながら、私はふぅ、とため息のような吐息を唇からこぼした。
ちらりと視線をベッドの上に戻す。
そこには言葉を発することはなく、うつむきがちに座ったままの未来の晴樹がいる。
水族館デートから帰る途中、公園に寄ってから。
現在の晴樹ととても大切な話をしてから、未来の晴樹はずっとこの調子なんだ。
「晴樹……」
そっと名前を呼んだけど、自分で口にしたその響きにきゅっと心臓が跳ねあがる。
ずっと好きだった晴樹と想いが通じあったなんて、なんだか今でも信じられない。
夢見心地で、ありえないと思う。
だけど、泣いて腫れたこのまぶたと、おやすみとわざわざ連絡をくれた晴樹の優しさにまた涙が浮かびそうになった。
そっと足を向けて、反応がない未来の晴樹の隣に腰を下ろした。
月と星の明かりだけの部屋は薄暗い。
そのはずなんだけどなぜか、不思議と彼の顔はよく見えた。