未来の君のために、この恋に終止符を。
握っていたはずの彼の手は、私の手をすり抜けて逆に上から掴んでくる。
彼の熱が伝わりそうな強さだ。
雪の日に暖炉の前に立ったかのよう、じわりと不安はとけていく。
「……私はずっと、誰かに関わることを、晴樹を傷つけることを恐れていた」
大切な人を傷つけた自分のことがこわくて、いやで、大嫌いだった。
毎日を呪った、過去の自分を許せなかった。
醜い私に優しくする晴樹を理解できずにいた。
世界は眩しく輝いて、照らして、それなのに私は影を落とすばかりだから、なにもかも終わらせてしまいたいと思った。
それなのに、晴樹のことが好きで、好きで、離れることができなかった。
「だけど、私の元にやってきた。
未来の晴樹が、あなたが」
信じられないことばかり。
未来から来て、私にしか見えないし触れられない。
なんの冗談かと思ったし、別れろなんて言うものだから、どこかに行って欲しくて仕方がなかった。
でもばかみたいなことを言う人が本当に自分の好きな人だと知った時、苦しくて、いつしか愛おしくなっていた。
勇気を出すように促してくれた。
たくさん優しくしてくれた。
不安に思う私に言葉を向けてくれた。
……嬉しかった。