未来の君のために、この恋に終止符を。
そうして私はめぐみという友だちを得て、信用できる安藤くんに晴樹の話をするようになっていく。
それが私にとってどれだけすごいことか、みんなきっと本当の意味ではわかっていない。
今までひたりで過ごしてきた私にとって、それは本来ならありえなかった。
遠ざけていた人たちは、とてもあたたかかったんだ。
あの日、私の世界はつくり変えられた。
「ありがとう。
……未来から、私のために、来てくれてありがとう」
「っ、」
死んでも優しいなんてずるい人だ。
こんなにも好きなのに、もっと、もっと好きになる。
顔を上げた彼が、私を見つめる。
まっすぐなのに切なげで……、ああ、なんだ。
木から落ちたあの日から、いなくなってしまったと思っていた、私にも意地悪でわがままな、子どもみたいな君。
ちゃんと晴樹の中にいたんだ。
「俺は、実莉をもう傷つけたくない。
このまま終わらせてしまった方がいいって、ずっとそう……」
指先を晴樹の唇に押しつけた。
風に触れるようであろうと、それでも唇というところは特別だ。
声をつめるように、晴樹は言葉を紡ぐのをやめた。