未来の君のために、この恋に終止符を。
みんなと私じゃ、態度が違う
ローファーを上履きに履き替える。
白セーラーの下では汗がにじんでいて、日陰に入ったことでほっと息を吐き出す。
裾をはためかせ、ぬるい風を服の中へわずかに送りこんだ。
私を待ってくれている晴樹の隣に立ち、階段を登る。
その間にも人気者である彼は多くの人に声をかけられている。
「晴樹、おはよう!」
「テスト勉強して来た?」
ひとつひとつに丁寧に、かつ親しげに言葉を返す晴樹の横顔を見つめる。
整った顔立ちがころころと表情を変えるさまを、私はただ黙って瞳に映すだけ。
感情が揺れることもなく、賑やかしでつけたテレビのように視界に入ってくるものをそのままにしていた。
それは教室内に足を踏み入れても変わらない。
期末試験当日だというのに、彼の周りには多くの人が集まって来る。
囲む人が壁となり、自分の席に着いた私には姿なんて見えない。
晴樹は頭がいいし、そのうえ親切だから直前の山張りも快く受けていて、その声だけが届いた。
とはいえ、見つめたり話したりなんて、そんなつもりなんてさらさらない私からしてみればどうだっていい。
彼のそばに誰がいたって私には関係ないし、なにかを言う権利なんてない。
私の発言で晴樹の行動を変えてしまうなんてごめんだ。