未来の君のために、この恋に終止符を。
長い間現状をぎりぎりのところで保ちつつ、ここまできた、今。
私の元には晴樹を名乗る男が現れた。
信じられないと思うのに、彼が晴樹だと信じてしまうような要因が増えていくばかり。
私より大人の彼の中から晴樹らしさを、その欠片を見つけるたび、どうしたらいいかわからなくなる。
それでも、未来の晴樹は離れていこうとはしないからそばにいて。
私の隣の現在の晴樹。
そして今日は部屋で待っているはずの、未来の晴樹。
ふたりが同じ存在だなんて……ありうるんだろうか。
そんなことを悩み、黙々と歩いていると晴樹が「そういえば」と声をあげた。
「英語のプリントの問題してきた?
ほら、この前言ってたやつ」
「あ」
彼が言っているのは、金曜日に教わった、試験に出ると言われたプリントの後半のこと。
私は適当に返してしまっていたけど、確かに聞いた覚えがある。
それなのに未来の晴樹のことなんかでばたつきながらの試験勉強だったせいですっかり忘れていた。
「……してない」
「忘れてた?」
「うん」
こくりとひとつ頷く。
申し訳なさで胸が埋め尽くされて、筆記具をぎゅっと抱き締めた。