未来の君のために、この恋に終止符を。
なんでもいいから、ばかとかでもいいから、けなしてみせてよ。
もっと違う、今と変えて、昔のように、気安く扱って欲しい。
近くにいながら触れあわない、もしくは優しくそっと触れられるだけの距離がさみしくて仕方がないんだよ。
私は、こんなにも孤独な特別はいらない。
なのに、
「直前だけど、出そうなところ教えるよ」
彼はやっぱり、泣いてしまいたいほど私に優しくする。
「いらない」
「でも、」
「いらないって言ってるの。
なにも勉強してないわけじゃないんだから平気」
心の距離を取るように言い切る。
あまりにも冷たい言い方に、晴樹が言葉をつまらせた。
誰かが私たちの様子をうかがいながらも足早に通り過ぎていく。
足が重い。
だけどそれよりずっと、心が重い。
自分で発した言葉がのしかかる。
迷惑をかけたくない。
晴樹を拘束したくない。
私のことなんて大切にしてしないで欲しい。
そう思うのにうまくできなくて、私はまた晴樹を傷つけたんだ。
そんな私の後悔さえも呑みこむように、彼は「そっか」と眉を下げて線香花火のような一瞬だけの儚い笑みを浮かべた。