未来の君のために、この恋に終止符を。
「おはよう」
「今日は自分で起きられたんだね」
まだ寝間着姿の私を見て、それでも晴樹は褒めてくる。
お互いにいつもより少しだけ眠そうなのは、ここのところずっと遅くまで試験勉強をしていたから。
それでも彼は朝から元気でにこやかで、私が寝ていたら起こすつもりだったんだろう。
確かにもうずっと、私は自力で起きることができなかったら晴樹に起こしてもらっている。
だけど今は、私の隣にはもうひとりの彼がいる。
いざとなったら未来の晴樹がなんとか起こしてくれるかもしれないなと少しだけ思っているんだ。
まぁ、そんな迷惑かけるつもりなんてさらさらないんだけど。
「じゃあ私、着替えるから」
「うん。リビングで待ってる」
現在の晴樹が扉へ足を動かす。
ベッドから降りた私は、黙ってこっちをうかがっている未来の晴樹にちらりと視線をやる。
あんたも出て行って。
「そんなに睨まなくても、ちゃんといつも部屋から出てるよ?」
肩をすくめてポップコーンが弾けるように笑っている。
なんだか少し楽しげで、そこにむっとする。
確かにいつも出てくれているけど、今日はもう迎えが来ているんだからさっさと着替えなんて済ましたいんだよ。
はやく部屋を空けてもらわないと困る。