未来の君のために、この恋に終止符を。
「そうだ、月曜日の英語の期末、このまえ配られたプリントの後半がそのまま出るんだって」
「そう」
私の顔をのぞきこむように話す彼に端的な言葉を返す。
視界にちらつく白いシャツが光を含んで輝いている。
授業中に試験の説明を受けた時は担当教諭はそんなこと言っていなかったけど、彼の友だちか誰かが聞いたんだろう。
愛想のいい、先生に好まれる人種の集まりだから。
7月の頭。1週間もある期末試験を乗り越えれば、夏休みが待っている。
夏期講習の予定があるから、全く学校に行かなくて済むわけじゃないんだけど。
長期休みに入るからといって楽しみは特にない。
また今年も義務感から晴樹に遊びの誘いを受けるんだろうとは予想できるけど、晴樹のそばにいるのは、夏は、辛い。
学校に行かない……クラスメートに会う必要がないことくらいしか利点はない日々。
家にこもっていられる生活は嫌じゃないけど、それでも喜ばしいと言えるほどの理由ではないかな。
それでも。
「試験なんてさっさと終わらせて、夏休み、楽しもうね」
そうやって君が、瞳を輝かせるから。
私との未来を考えて言葉を口にするから。
「……うん」
私はそんな偽りの同意を返した。