未来の君のために、この恋に終止符を。
「じゃあ、誰と?」
「ほら、あっちにいるじゃん」
彼女がネイルの施された爪で指し示した先へと視線をやる。
いやな予感がして見たくないと思うのに、どうしてか顔を向けてしまい……私は小さく息を呑んだ。
「っ、」
安藤くんをはじめとする晴樹の男友だちと立川さんの女友だち、合わせて4人が駆け寄って来ていた。
「菜津ー、勝手に走り出すのやめろよ」
「晴樹はデートだろ」
「だって晴樹に会えて嬉しかったんだもん!」
ストレートな言葉。
私だったら絶対に口にしないような正直な感情をぶつけられ、晴樹は少しだけ面喰らう。
そして慣れたように「はいはい」なんて笑ってみせた。
どちらも笑顔で、楽しげで、膨らませたビーチボールのように光り輝く希望が彼女の胸には詰まっている。
立川さんが晴樹の隣に並んでいることは、私よりずっと自然。
……とても、自然で、当然のことだ。
私と他の人では世界が違うんだから。
立川さんは友だちに忠犬みたいと言われ、わんっと声をあげた。
いつも教室の中心でしていた彼らのおしゃべりの輪の中、紛れこんでしまった私は場違いだな、と視線を落とした。
しっしっ、なんて手を振って、晴樹はみんなを追い払おうとしているけど、本来追い払われるべきは私だ。