未来の君のために、この恋に終止符を。




『どうしてそんなことを言うんですか』

『さぁ。どうしてだと思う?』



主人公とヒロインが大きく映される。

のらりくらりと交わす男の言葉に翻弄されるだけで、大したことないと感じるシーンでさえどきどきと胸が高鳴る。



どの役者さんの演技もとても丁寧で、素晴らしい。

多少の変更はあるけど、原作を大切にしていることがわかるストーリー展開に元々の読者である私も楽しい映画だ。



ちらり、と左側に顔を向ける。

わずかに顔を照らされている晴樹が、真剣な表情でスクリーンを観ている。

そしてその向こうには、立川さんの姿がある。



あのあと────立川さんを含む7人という大所帯で映画を観ることになって、細々とした作業を済ませた。

私の分の飲みものの注文なんかは晴樹がてきぱきと進めてくれたけど、彼の隣には立川さん。

私は1歩下がった距離から、晴樹と話をしている彼女を見ていた。



そして座席は右端から私、晴樹、彼の隣を逃すはずもない立川さん、安藤くんに、……残りの3人はそろそろ遠くて誰がどこに座っているのかは把握していない。

私とおしゃべりするために一緒に観ることになったはずなのにちっともそばにいないあたりが甘いと思う。

映画中に話すなんてマナー違反、するつもりなかったけど。



そんな様子じゃ、私なんかといるつもりなんてないことがばれるよ。

それとも、そもそもはじめから気づかれて構わないと思っていたのだろうか。






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