未来の君のために、この恋に終止符を。
気にしてもどうしようもないと、視線をスクリーンに戻そうとすると、
「っ、」
立川さんの手が、ひじ置きにある晴樹の手に重なった。
驚いた晴樹は肩をびくりと跳ね上げる。
触れあったふたりの指先に、私の視線は囚われたようにそらせない。
はっきりとは見る勇気の出ない、彼の表情は、どうなっているんだろう。
ごくりとつばを飲む。
のどに引っかかる感覚がし、心臓の鼓動がうるさくてなにも聞こえなくなった。
黙ってその光景を瞳に映していると、彼はひじ置きから手を下ろした。
立川さんと手を繋ぐことはなかった。
ゆっくりと、少しだけ視線を上げると、不服そうな表情をした立川さんと目があう。
どれだけひどい顔をしていたのか、私の顔を見て彼女は息を吐き出すように笑った。
その、はっという吐息だけ、聞こえた気がした。
全身の力が抜けたように重たくなる。
座席に体を預けて、スクリーン以外を見ないようにする。
「はぁ……」
もう、どうでもいい。
こんなことに、立川さんのことに気を揉んで、煩わしい。
晴樹が立川さんを選ばなかっただけ。
どうせ形ばかりの関係で、私は選ばれたわけじゃないんだから。
映画に集中するため、ふたりのことはひとまず忘れようとする。
だけどどうしても、立川さんのあの、私より優位だと言っている表情が頭から離れなかった。