未来の君のために、この恋に終止符を。
ゆっくりと館内が明るくなる。
エンディングまで見終えて、周りから息を吐き出す音がした。
「実莉、面白かったね」
左側からのぞきこみ、晴樹が顔を出す。
まるでさっきの立川さんとのことはなかったかのように自然で、いい笑顔だ。
「……うん」
そんなのうそ。
途中まではしっかり見ていたけど、ふたりの手が重なった瞬間から、私は映画に意識を向けられなくなっていた。
だから視界には映っていたはずなのに、映画と原作の結末が同じだったかすらわからない。
「パンフレットはどうする」
「どうしようかな……」
いつか映画をもう1度観たら、もしかしたら欲しくなるかもしれないし買っておくべきかと少し悩む。
……その日が来る時、まだ、晴樹は私の隣にいるんだろうか。
性格がいいとは言えないけど、立川さんのような彼にとって話しやすい人が肩を並べている可能性だってあるんだ。
そんなことを考えていると、彼は私の空になった飲みものを持ってくれている。
慌てて立ち上がり、受け取ろうとするもやんわりと断られる。
「花沢さん、遅ーい」
間延びした立川さんの声にはっとする。
端に座っている私が進まないとみんなここから出られないことに気づき、ひとまず足を動かした。