未来の君のために、この恋に終止符を。
第2章

わかっていても、できないこと





あれから────映画に行ってから、そして未来の晴樹が本当に晴樹なんだと知ってから、約2週間が過ぎた。

試験結果も無事に赤点を取っておらず、心配いらない成績だった。

今日からは夏休みだ。



とはいえただ夏を満喫できるわけもなく、学校で行われる夏期講習に参加しないといけない。

いつもと違うのは昼頃には終わることと、学年での成績別のクラスで授業を受けること。



私は理数科目は上位クラスだけど、他の科目のレベルは並。

普通クラスで受けることになっている。



もちろんどの科目も上位クラスの晴樹は、今から受ける古典は私とは違う教室で受けるから、ここにはいない。

ちゃっかり未来の晴樹は学校にまでついて来て、隣に平然と立っているけど。

いくら私以外には見えないとはいえ、彼は自然体すぎる。



久しぶりに会ったはずのクラスメートへの関心は夏休みがはじまる前に薄れてしまったのか、どうせなにもできないしと思ったのか、やけに私にべったりだ。



「……」

「ん? なに」



じっと見つめたあと、なんでもない、と顔をそらす。

見下ろされるその角度が、大人になった彼の甘やかな魅力を引き立てていると思う。

……言わないけれど。



そんな、話せる人が誰もいない空間に投げ出されたはずの私の隣には、それなりによく知る人の姿。

顔を斜めに向けて、右隣に視線をやる。

気だるげに頬杖をついているのは、晴樹の友だちの安藤くんだ。






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