未来の君のために、この恋に終止符を。
学校のことも、なにも、話すことなんてひとつもない。
高校に入学して2ヶ月が過ぎた今も、私には親しくしている人なんていない。
業務連絡くらいしかやりとりはないし、晴樹と委員長、あとは先生くらいだ。
そのことにきっと、かすかに眉を下げて悲しそうにして、それなのにお母さんはそれを必死で隠そうとするんだ。
私が気にしないようにと、そう考えて。
そんな未来がわかっていて、わざわざ時間を共に過ごすなんていやだ。
互いに気分だってよくないし、……正直煩わしい。
「……いい」
部屋で着替える、と言葉を残し背を向ける。
たんたんと単調で冷たい音を立てて階段を上りながら、これもお母さんを喜ばす行為ではないとわかっている。
わかっているから少しだけ、胸がちくりと罪悪感で痛んだ。
私は、いつもそう。
大切にしたかったはずのものを傷つけて、距離が開いて、うまく感情を表現できなくて。
そうしてすれ違っていく、また……傷つける。
だけどもう、なにもかもいやで、頑張りたくなくて、頑張らなくて。
私は毎日呼吸をするだけで精一杯だ。
好きなものを好きだと言うことさえ、私には難しい。