未来の君のために、この恋に終止符を。
今も未来も、わからない
ゆらゆらと、優しく体が揺すられる。
体に力が入っておらず、揺らされるままに動く。
冷えた空気にさらされた肌はわずかに冷たく、頬をかすめたぬくもりにすり寄った。
なめらかなそれがびくりと跳ねたあと、するりと耳の下にまですべりこむ。
くすぐったいような、心地いいような、そんな感覚がする。
「ふふっ……」
唇からもれた自分の笑い声にびくりと肩が震えた。
曖昧だった頭がはっきりしてきて、まぶたというものを意識する。
ゆったりと持ち上げると、私の顔をのぞいている未来の晴樹と目があう。
「晴樹……」
寝起きのかすれた声で呟くと、彼は私のまだ眠そうな表情を見てくすりと小さく笑う。
まさかとは思うけど、私を起こしてくれたのは彼なんだろうか。
いや、晴樹はなにも触れられないはず……。
でも私だけは違うんだっけ。
身を起こしつつどういうことなのかと寝ぼけたまま悩んでいると、おはようと言った未来の晴樹が勉強机のそばに向かう。
視線でそれを追いかけると、そこには現在の晴樹の姿があった。
「おはよう、実莉。今日も夏期講習だよ」
優しさがにじむような笑顔はいつもどおりなんだけど、少し印象が違う。
かすかに頬を赤らめていて、それが気にかかる。