未来の君のために、この恋に終止符を。
「続き、読まなくていいの?」
「まぁ、うん」
「そっか。閉じちゃったけどページわかる?」
「大丈夫」
淡々と言葉を返しつつも、静かにはやい心臓の鼓動を感じる。
聞かれていないことにほっとしていると、晴樹は身を起こした。
「そんなにこっち見てるってことは、なにか訊きたいことでもあるんだよね。どうかした?」
今度は隠すことができない驚きに、私は目を見開いた。
「……晴樹が超能力者みたいになってる」
「それはない。もしそうだったら俺はこんな不便な状態でここにいないよ」
晴樹はおどけたように肩をすくめて、口角をあげる。
その言葉の内容は私の訊きたいことと近いように思った。
「不自由?」
「……触れないし、見られないしね。
でも実莉だけは例外だから、俺はそれで充分だよ」
私がすべてだと言い出しそうな彼の様子。
どろどろと溶け出すアイスのように、原型をとどめていられない、複雑な心境になる。
晴樹の中の私が大きすぎて、こわいな。
私が与える影響はどれほどなんだろう。
「実莉が訊きたかったのってそれ?」
「ううん。……未来のこと、映画の時に教えてくれたけど、あれってよかったの?
していいこと、悪いことって、なにかはっきりあるなら知りたい」
震える声を絞り出して、核心に触れた。