未来の君のために、この恋に終止符を。
「それを言いにわざわざ部屋に来たの?」
つんと澄ました表情で晴樹に言葉を投げかける。
本当は嬉しいくせに、そんな様子を見せることができない。
私は可愛げがない。
しばらく沈黙が落ちる。
その間がどう考えても不自然で、なんか言ってよ、と晴樹に向かって言った。
すると彼はなにかを決心したかのように「よし」と立ち上がる。
そしてそのまま私の手になにかを握り締めさせる。
そして、
「誕生日おめでとう」
見下ろしながら、のぞきこむようにして笑った。
可憐な花が1輪、花びらをほどくようだった。
ぱちぱちとまばたきを繰り返す。
晴樹の言葉をなんとか呑みこみ、質問を投げかける。
「……今日、何日」
「7月24日だよ」
それは、16回目の私の誕生日だった。
掌の中にある、小さくて薄い包みをまじまじと見つめる。
予想もしていなかったものを手渡され、どうしたらいいものかと悩んでしまう。
「もしかして自分の誕生日、忘れてたの?」
「うん」
こくりと頷くと、晴樹が呆れたように、それでいて優しく眉を下げる。