未来の君のために、この恋に終止符を。
晴樹がいなくなったことで、改めてプレゼントをまじまじと見る。
ラッピング用じゃない包装紙に、〝Happy Birthday〟と書かれたシールだけは貼ってある姿。
本来ならちゃんとしたラッピングがされるはずなのに、なんとも言えず中途半端な外見だ。
ずっと背中に隠し持っていたらしいそれは、少しだけしわが寄っていた。
晴樹がわざわざ私のために買って来てくれたもの。
私の、確かに私だけの、プレゼント。
水の中から水面に顔を出したかのように、自然と息を吸う。
酸素を取りこんで、ようやく息をとめていたことに気づく。
だけどそれでも感極まって呼吸がとても難しい。
こらえきれない熱情からぎゅうと、壊さないかと怯えてふわりと、私はそれを胸の中に閉じこめた。
部屋に現在の晴樹がいないことをいいことに、顔をぐしゃりと歪ませる。
涙が出てないだけでまるで泣いているみたいだ、と他人ごとのようにぼんやりと考えた。
毎年のことでも、やっぱりプレゼントを用意されていると嬉しい。
他でもない晴樹からのものだから、こんなにも嬉しいと思う。
だけど、
「ただの義務感からのくせに、」
そうわかっていたから、悲しかった。