未来の君のために、この恋に終止符を。
「そういえば、晴樹からは昨日のうちにプレゼントをもらっているんだよね? なんだったの?」
「ブックマーカーだった」
そう。
昨日、彼から受け取ったプレゼントの包みを落ち着いてから開けてみた。
すると、なんとそれは映画の前にのぞいた雑貨屋さんのブックマーカーだったんだ。
背表紙でオレンジ色のチャームがゆらゆらと揺れるデザイン。
無駄な装飾がない、銀にとける色あいが優しい。
晴樹に似た、それだった。
素敵で、欲しくて、確かにいいなと思っていた。
だけど晴樹みたいだから、と遠ざけたものを晴樹自身から渡されてしまった。
本を読んでいる時だけは忘れられた、彼と私のことを、もう忘れられない。
それは常に罪悪感を受けとめる必要があり、苦しいと思う。
それでも、彼からのものを私が使わないはずがないんだ。
「花沢さん、よく読書してるもんね」
「あんだけ大事にしてるならアクセサリーのひとつでもやって、縛りつけるのかと思ってた」
「崇人、縛るとか言葉選びがひどいよ!」
もう〜! と片岡さんは焦っていて、安藤くんは晴樹が私を想っていることを当然だと考えている。
だけど本当は違う。
本当は、すでに縛りつけているんだ。
私が、晴樹を。