未来の君のために、この恋に終止符を。
「……告白?」
その場に投げこまれた問いに、わたしは目を丸くする。
きゅっと肩に入った力をゆっくりと抜いた。
「知ってたの?」
それならそうと言ってくれていたら、変に誤魔化そうとせずに済んだのに。
様子のおかしい私を笑っていたとでもいうんだろうか。
「そういうんじゃないよ」
疲れたようにそう吐き出す晴樹に少し驚く。
なんだか今日は本当にいつもと違う。
なにかあったのかと心配になるけど、質問を投げかける前に彼が短く私に問う。
「実莉はした側? された側?」
「された側、だけど……」
唇に戸惑いが乗る。
そこまでは知らなかったのか、それがどうかしたのか、考えてもわからない。
いったいなんなんだ。
ほらね、ともらったラブレターをポケットから出して、ひらひらと揺らす。
晴樹はそんな私を見下ろして、だけどはっきりした意味のある言葉は口にせず、
「ふーん……」
ただそれだけをもらした。
淡々としているようで、冷たい温度を感じる声色。
だけどそれは私に対して冷たいんじゃない。
線が引かれてあるといった、孤独に近いものだ。
それがどうしようもなくいやで、許せなくて、特に意味もなくまた晴樹に手を伸ばした。
それは無意識で、本当になにも考えていなかった、そのせい。
「あ」
掌からするりと逃げ出したラブレターは、ひらり。
風に乗り、そばにあった木に引っかかった。