クロイツ魔法学園
────────ギィッ
おそるおそる中へ足を踏み入れると、そこには2人の大人がいた。
1人は、たぶん校長先生。
もう1人は⋯副校長とか?
「おお、よく来た。君が今日からの転入生、日向陽梨さんだね?」
最初に口を開いたのは、立派な椅子に座るヒゲの立派な人だった。
「はい。よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げ挨拶すると、その人は
うなずきながら 嬉しそうに笑った。
「うむ。さすが、クロイツ学園の前代未聞と謳われる転入生。校長である私でさえ、ただならぬ魔力を感じるよ」
「魔力、ですか?」
そんなに私の魔力強いのかな。
確かにお母さんからはそう言われたけど⋯。
ってか、転入するのって前代未聞なの?
初めて聞いたな⋯。
帰ったらお母さんに自慢しよっと。
「それで⋯君は、魔界育ちかな?」
「あ、いえ。両親は魔界育ちですが、私は現実界育ちです」
ヒゲを撫でながら尋ねてきた校長先生は、また微笑んだ。
「⋯?」