スノウ・ファントム


空からは、変わらずに雪が舞う。

だんだんと太陽は沈んでいき、オレンジと紫の交じり合う空の色がきれいだ。

これがきっと、ルカと見る、最後の景色。

そして、ルカの姿も――。

私は、泣きそうなのをなんとか堪えて、その目にまっすぐにルカをとらえた。


サラサラとしていて光沢のある、色素の薄い髪。

大きくてくりっとした、薄茶色の瞳。

その瞳に私を映しながら、出会ったときと同じ、きれいで儚げな笑みを口元に浮かべている。


「私……ルカのこと。初めて見たときから、カッコいいって思ってたよ」


突然そんなことを言い出した私に、ルカは一瞬目を丸くする。
でもすぐにまじめな顔に変わって、一歩こちらに近づいてきた。

そして、私の頬に片手を添え、ほんの少し顔を上げさせる。


「……俺だって。キナコのこと、可愛くてしょうがないよ。本当は、これから俺が行く場所に、一緒に連れていきたい」


愛しそうに目を細めて、そんなこと言わないで。


「じゃあ、連れてってよ……私も、一緒に、行く……」


ダメだってわかっているのに、わがままな気持ちが口をついて出てしまうよ。




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