スノウ・ファントム
“駅のそばにあるmimi(ミミ)という雑貨屋から出てきたところを見たんだ。でも、すぐにどこかへ走り去ってしまったからな――”
先生から教えられた手がかりを頼りに、私は街中を走った。
(ルカ……どこ……?)
私は先生が見た人物がルカであると確信していた。
なぜなら、その雑貨屋は、ルカと初めて会った時にもらった傘を売っていたお店だから。
店にはもういないだろうとわかっていても、私はそこを訪れ、雑貨には目もくれずルカの姿を探した。
そこに案の定彼の姿はなく、私は店の周りや駅の中を、くまなく探し回った。
……しかし、収穫はゼロ。
「いない……」
やっぱり須藤先生の見間違いだったんだろうか。
だいいち、ルカがこの世界にいるはずはないのだ。
落胆しながらとぼとぼと帰路につき、電車に乗って地元に帰る。
そして、家の前まで来た時だった。
「……なんだろう。雪、だるま……?」
玄関の前にある、小さなコンクリートの階段の上に、ちょこんと座っている、小さな雪だるま。
目はビー玉。どんぐりを連ねて作られた口は、にっこり笑っている。
そしてふっくらと丸い体には、一枚の小さなカードが刺さっていて。