スノウ・ファントム
(そう。私、もっとルカと一緒にいたい……ずっと)
ルカがそばにいるときは、胸がかき乱されて、自分の気持ちが自分でも見えなかったけれど、ルカのいない場所で彼を思うと、そんな素直な気持ちが心にストンと落ちてきた。
そして、ふいに思い出す。
“雪が解けてもキナコのそばににいられる方法、ちゃんと考えてあるから”
――以前、ルカ自身がそう言っていたことを。
「山野くん……ルカは、春が来て雪が解けても、私のそばにいられる方法があるって、言ってたことがあるの。……それってどんな方法だと思う?」
山野くんは眉根を寄せて、渋い顔をする。
「なんだそれ、マジでか。……なんか、あんまりいい予感はしないな。……まさか、佐々木さんをアイツの世界に引き込むとかそんなんじゃないだろうな」
……それは、死んだ人が行く場所ということだよね。
だとしたら、ルカは私の命を奪おうとしてるってこと?
「俺らの知らない“裏側の世界”みたいのがあってさ、そっちで一緒に生きようとしてるとか」
「……そう、なのかな」