スノウ・ファントム
「俺が、殺すわけじゃない……」
うわごとのように呟いて、脳内で繰り返し流れる葉村の映像をなんとか消し去る。
そして、俺はキナコに会いに行くため階段を下りて行った。
俺は普通の人間になれたんだと、早く報告しよう。
これからは、ずっと一緒にいられる。
しかも同じ学校の同じクラスだなんて、うれしくない?
そう明るく言ったら、キナコも笑ってくれるだろうか。
(笑って……くれる、かな)
どんな説明をしたら、言い訳をしたら。
俺は、自分のしたことを正当化できるんだろう。
もう迷わないと決めたはずなのに、そんな疑問ばかりが頭の中をぐるぐると回っていた。