スノウ・ファントム
(どうして、ルカのこと知って……)
思わず、チョコの入った紙袋を持つ手に力がこもる。
なんて答えたらいいのか迷っていると、ちら、と私を見た彼は口角を上げる。
「……僕も会ったんだ。それで、友達になったよ、ルカと」
「本当に……?」
葉村くんを疑うわけじゃないけれど、ルカと彼が友達になるというイメージがあまり湧かない。
でも、ルカは葉村くんのこと“俺が探ろうか”って言っていたから、そのことで彼に近づいてみたら、意外と気が合ったのかもしれない。
「本当。それで、ルカが言ってたよ、佐々木さんのこと。“バレンタイン、俺のために一生懸命チョコを作る練習してくれてるんだ”――って」
そんなことを言いながら優しく微笑まれて、私の顔がぼっと熱くなる。
(ルカ、なんでそんなこと葉村くんに……! でも、こんな風に普通に恥ずかしくなるってことは、私、本当にルカのこと……)
かつて好きだった葉村くんに冷やかされても、胸は痛くもなんともない。
いつの間にか、こんなにも……私の心はルカでいっぱいだったんだ。
しみじみと、そんな気持ちをかみしめていると、葉村くんはまた違う質問を私にぶつけてきた。
「……佐々木さんは、さ。もしもルカに会えなくなったら、どうするの?」