花舞う街のリトル・クラウン
「し、おん?」


そこにいたのは普段とは異なり高級そうな服を纏い着飾ったシオンの姿だった。

眉間に深いしわを寄せて、睨みつけるようにしてリル達を見ていた。

シオンは眉間にしわを刻んだまま、リルの腕を引っ張るとその男から引き離して自分の元に寄せた。



「お前、何をしている?」



その声は今までに聞いたことがないくらいに低い声だった。

味方であるはずのリルですら心の底が冷えそうなほどの恐ろしさだ。


けれど彼は一切気にしていない様子でヘラリと笑うと、「これはこれは失礼しました」と仰々しく頭を下げる。



「女に興味のないあなたがこだわるほどの女性があらわれたと聞いたものですから、どんな女か興味を持ちましてね。たまたま見かけたので声をかけただけですよ」


「大丈夫ですよ、何もしていませんから」と彼は微笑みを浮かべたまま言うが、シオンの表情は硬いままだった。


「やだな、そんな怖い顔しないでください」


「お前がそうさせているんだろ」


「それは失敬」

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