花舞う街のリトル・クラウン
4th CHapter
luminaria - ルミナリア -
luminaria【豪華・きらびやか】
*
あの日から数日、リルは懸命に働いた。
シオンとの思い出を忘れないようにするためだ。
目を閉じると瞼の裏にシオンの姿が浮かんできてしまうので、ここ数日リルは寝ていない。
ランプの灯りをともして、仕事が終わってからは花の本を読むなどその知識を増やしていた。
そのため目の下には青いクマがでてきていたが、それでも懸命に笑顔を振りまいて仕事をこなすリルの姿に、リュートやアーディは心配すらしていた。
オリバーもリルの異変に気付いているらしかったが、仕事がしたいのならさせた方がよいだろうと判断して敢えて気づいていないふりをしていた。
そんなある日のこと、リルはオリバーから宅配の仕事を頼まれた。
「お届け先は伯爵家クレーラ・ボスト嬢。今は王都の南にある別荘にいらっしゃるそうじゃ」
オリバーは注文票を眺めて溜め息を吐く。
どうしてそんな表情をするのかリルは不思議に思いながらも「何をお届けするんです?」と問うた。
「深紅のルミナリアじゃ」
顔ほどの大きさに咲くルミナリアは、ひらひらとまるでスカートのプリーツのような大きい花びらが特徴的な豪華な花。
一輪でも存在感の強いこの花は、赤や白、鮮やかなピンクなど色合いも華やかで、高級志向の高い貴族の方々に人気がある。
*
あの日から数日、リルは懸命に働いた。
シオンとの思い出を忘れないようにするためだ。
目を閉じると瞼の裏にシオンの姿が浮かんできてしまうので、ここ数日リルは寝ていない。
ランプの灯りをともして、仕事が終わってからは花の本を読むなどその知識を増やしていた。
そのため目の下には青いクマがでてきていたが、それでも懸命に笑顔を振りまいて仕事をこなすリルの姿に、リュートやアーディは心配すらしていた。
オリバーもリルの異変に気付いているらしかったが、仕事がしたいのならさせた方がよいだろうと判断して敢えて気づいていないふりをしていた。
そんなある日のこと、リルはオリバーから宅配の仕事を頼まれた。
「お届け先は伯爵家クレーラ・ボスト嬢。今は王都の南にある別荘にいらっしゃるそうじゃ」
オリバーは注文票を眺めて溜め息を吐く。
どうしてそんな表情をするのかリルは不思議に思いながらも「何をお届けするんです?」と問うた。
「深紅のルミナリアじゃ」
顔ほどの大きさに咲くルミナリアは、ひらひらとまるでスカートのプリーツのような大きい花びらが特徴的な豪華な花。
一輪でも存在感の強いこの花は、赤や白、鮮やかなピンクなど色合いも華やかで、高級志向の高い貴族の方々に人気がある。