花舞う街のリトル・クラウン
「へえ?何のことかい」

おじさんは片目を開けてそうとぼけた。

「さっきの言葉です」

「なに、ただ自分の気持ちを言っただけさ」

「だけど、おかげでみんなの気持ちが変わって…」

「やめとくれよ、おだてるなんてよ。あー、そんなに褒められちまったら、おじさん照れちまうよ」

「嬢ちゃんも早く寝な」、とぶっきらぼうにいうと、おじさんはかぶっていたぼうしを深くかぶって腕を組んだ。

リルはくすりと笑うと、おじさんに言われた通り眠ることにした。

辺りを見渡すと、他のお客さんもそれぞれ寝る支度を始めたらしい。

鞄を抱えて、目をつむる。

虫の音の澄んだ音が遠くから聞こえてくる。

疲れていたのか、すぐに眠気がやってきて、リルはそのまま眠りの底に落ちた。


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