花舞う街のリトル・クラウン
「あの花を見ると、あの方を思い出すの。花と同じ名前を持つあのお方を」
うっとりとした表情で想いを馳せるクレーラを見て、クレーラはその人が好きなのだろうことはリルにもよく分かった。
それと同時にクレーラが想いを寄せるその人物も分かってしまった。
リルと同じように花の名前を持つ人物、それはリルも知っているその人だ。
シオン・ルナルス・パルテナ王太子殿下。
この国の第一王子であり、リルの探していた人物でもある。
「シオン様とは幼い頃から何度もお会いしてきたわ。あの切れ長な瞳、王族として気品に満ち溢れたそのお姿。ああ、どれをとってもあんなに美しい人はいない」
本当のシオンは違う、とリルは心の中で思った。
シオンは平民とのつながりを求める、少し変わり者の王族だ。
確かに王族として堂々とした立ち振る舞いをするけれど、だからと言って驕ったりはしない。
傍に寄り添ってくれる、そういう温かさを持った人なのだ。
「結婚しなければならないのなら、わたくしはシオン様と一緒になりたい。
そのためにずっと努力を重ねてきた。
ダンスも知識も、美貌も、全てはシオン様と結ばれるために」
そこまで言うとクレーラは拳を握りしめて俯いた。
夢見る乙女だった声色は次第に憎悪に満ちたものへと変わっていく。
「そうよ、わたくしは結ばれなくてはならないの。シオン様と。
そのためにわたくしは生まれてきたのよ。
それなのに…それなのに!」
うっとりとした表情で想いを馳せるクレーラを見て、クレーラはその人が好きなのだろうことはリルにもよく分かった。
それと同時にクレーラが想いを寄せるその人物も分かってしまった。
リルと同じように花の名前を持つ人物、それはリルも知っているその人だ。
シオン・ルナルス・パルテナ王太子殿下。
この国の第一王子であり、リルの探していた人物でもある。
「シオン様とは幼い頃から何度もお会いしてきたわ。あの切れ長な瞳、王族として気品に満ち溢れたそのお姿。ああ、どれをとってもあんなに美しい人はいない」
本当のシオンは違う、とリルは心の中で思った。
シオンは平民とのつながりを求める、少し変わり者の王族だ。
確かに王族として堂々とした立ち振る舞いをするけれど、だからと言って驕ったりはしない。
傍に寄り添ってくれる、そういう温かさを持った人なのだ。
「結婚しなければならないのなら、わたくしはシオン様と一緒になりたい。
そのためにずっと努力を重ねてきた。
ダンスも知識も、美貌も、全てはシオン様と結ばれるために」
そこまで言うとクレーラは拳を握りしめて俯いた。
夢見る乙女だった声色は次第に憎悪に満ちたものへと変わっていく。
「そうよ、わたくしは結ばれなくてはならないの。シオン様と。
そのためにわたくしは生まれてきたのよ。
それなのに…それなのに!」