花舞う街のリトル・クラウン
「すみません、あの、庭を見させてくださいませんか。ペンダントが、落ちてしまって…」
沈んだリルの声に、使用人の男性は全てを見通したらしかった。
それから「構いません」と言った後に「見つかるといいですね」と優しい声をかけた。
それを聞いたリルは頭を下げて庭へと走って行った。
流石はボスト伯爵家、その家だけでなく庭もかなり広かった。
広大な芝生が広がる庭のどこにペンダントが投げられたのか、皆目見当もつかない。
降り注ぐ雨に濡れた服が肌に張り付いて、その冷たさを直に伝える。
「どこにあるんだろう…」
そんな情けない小さな声を出して探し始めた。
リルは投げ捨てられた怒りよりもペンダントがどこにあるのかが何より心配だった。
たかがペンダントひとつで、と思われるかもしれないが、あのペンダントはリルにとって何にも代えがたい大切なもの。
王都でシオンと再会するきっかけをくれた物であると同時に、リルとシオンがかつてアルトワールで出会ったことを証明する唯一のものなのだ。
リルはあのペンダントさえ見つかれば、自分はこの先ずっとシオンのことを思って生きていけると思ったのだ。
あのペンダントさえ見つかれば、命を落としたってかまわない。
だからどうか見つかりますように、とリルは祈るように探し回った。
沈んだリルの声に、使用人の男性は全てを見通したらしかった。
それから「構いません」と言った後に「見つかるといいですね」と優しい声をかけた。
それを聞いたリルは頭を下げて庭へと走って行った。
流石はボスト伯爵家、その家だけでなく庭もかなり広かった。
広大な芝生が広がる庭のどこにペンダントが投げられたのか、皆目見当もつかない。
降り注ぐ雨に濡れた服が肌に張り付いて、その冷たさを直に伝える。
「どこにあるんだろう…」
そんな情けない小さな声を出して探し始めた。
リルは投げ捨てられた怒りよりもペンダントがどこにあるのかが何より心配だった。
たかがペンダントひとつで、と思われるかもしれないが、あのペンダントはリルにとって何にも代えがたい大切なもの。
王都でシオンと再会するきっかけをくれた物であると同時に、リルとシオンがかつてアルトワールで出会ったことを証明する唯一のものなのだ。
リルはあのペンダントさえ見つかれば、自分はこの先ずっとシオンのことを思って生きていけると思ったのだ。
あのペンダントさえ見つかれば、命を落としたってかまわない。
だからどうか見つかりますように、とリルは祈るように探し回った。