花舞う街のリトル・クラウン
店の扉を開けたのは少女だ。と言ってもリルと同い年程の女の子。

慌てて入ってきた彼女は右手で扉をあけ、左手で拳をつくり胸を押さえながら、俯いて息を整えている。


「ど、どうされましたか」


リルはその少女の元に駆け寄るが、すぐに誰なのか分かった。


「メア？どうしてここに？」


その少女はメアだった。

メアは切れる息を整え、何も話そうとしない。


「そんなに急いで来たの？一体どうしたの？」


それでも何も言わないメアは肩を上下させて息をしながら、拳をつくった左手をリルに向ける。

困惑しながらメアの左手を見ると、その手には何か握られているらしい。それを受け取れという意味なのだろうかと考えながらリルも手を差し出すと、メアは左手の拳を開いた。

ころりとリルの手に落ちてきたそれに、リルは目を見開く。


「ど、どうして？どうしてメアがこれを持っているの？」


それはリルがずっと探していたあの黄色い花のペンダント。

しかし壊れていたはずのペンダントは修復され、新品同様に綺麗になっている。

一体どういうことだとリルが呆然としていると、オリバーがやって来て「早かったのう」と暢気な声をメアにかける。


「アーディのやつ、仕事ができるようになったのう」


意味深なその言葉にリルが尋ねると、メアが答えた。


「アーディが昨日うちに来たの、リルの壊れたペンダントを持って」


そう切り出した話にリルは目を見開いた。
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