花舞う街のリトル・クラウン
昨夜、リュートとアーディを呼び出したオリバーは二人に相談した。

壊れてしまったリルのペンダントをすぐに直せる装飾品屋はないか、と。

この王都で飲食店を営む二人ならば、自分よりも多くのことを知り顔も広いだろうとオリバーは思っていたのだ。

装飾品屋を紹介してもらえたら満足だと思っていたオリバーだが、リュートはそうはしなかった。

リュートの店が火事になったときにリルには大きな借りがある、とリュートは壊れたペンダントを預かって装飾品屋に持って行き直してもらうように話をつけてくれたのだ。

その役割をアーディが担い、腕の立つ装飾品屋としてメアに修理を頼んだということらしかった。


その話を聞いたリルはオリバーの顔を見た。

オリバーは気まずそうに指で顔をかきながら、「気まぐれじゃ」と言う。


「リュートの店には貸しがあったからのう。早々に返してほしかっただけじゃ」


そっぽを向くオリバーが照れていることはすぐにリルにも分かった。

だからリルは頭を下げて心から感謝を伝えた。


「ありがとうございます！」


オリバーは「ふん」とまたそっぽを向く。けれどリルはオリバーの心遣いに嬉しくてたまらなかった。


「メアも忙しいのに、ありがとう！こんなにすぐに直してくれるなんて…」


するとメアも照れているのか、「わたしは王都一の装飾品屋を目指しているのよ、これくらい当然だわ！」と言う。


「それに、知っているもの。このペンダントがリルにどれほど大事なのか。どれほど大切なのか」
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