花舞う街のリトル・クラウン
「どうして、おじさんが…」
「お、オレに気づいたのか」
驚くリルにおじさんは呑気にそんなことを言った。
「どうしてって言われてもなあ、こっちも生活があるからよ」
「生活…」
「生きるためには仕方ねえってこったあ、まあ、嬢ちゃんだって分かるだろ」
おじさんは詳しくは話さなかった。
ただ生きるためのお金に困っていることは分かった。
「…私をどうするつもり」
「そうだなあ」なんてたばこの煙を吐き出して、おじさんは何でもないことのようにこう言った。
「売る」
単純明快で恐ろしい言葉にリルは目を見開いた。
「淡い胡桃色の長い髪にロゼの瞳。それに嬢ちゃん17だったっけか。見た目も良くて若い娘ってえのは、結構いい値がつくんだよ」
どういう神経をしているのだろう、こんな発言をするなんて。身の毛がよだつ、というのはこの状況だとリルは思った。
リルは兄のことを思い返していた。今日の朝、兄が心配してくれたことが的中してしまった。お昼に助けてくれた人のことも思い出した。
それからもっと警戒しておくべきだったと後悔した。
「なあ、もう出発していいか?」
別の声が聞こえてそちらに目をやると、そこにいたのは馬借のおじさんだった。
「どうして、あなたまで…」
「ああ、起きたってのはこの嬢ちゃんだったか」
「お、オレに気づいたのか」
驚くリルにおじさんは呑気にそんなことを言った。
「どうしてって言われてもなあ、こっちも生活があるからよ」
「生活…」
「生きるためには仕方ねえってこったあ、まあ、嬢ちゃんだって分かるだろ」
おじさんは詳しくは話さなかった。
ただ生きるためのお金に困っていることは分かった。
「…私をどうするつもり」
「そうだなあ」なんてたばこの煙を吐き出して、おじさんは何でもないことのようにこう言った。
「売る」
単純明快で恐ろしい言葉にリルは目を見開いた。
「淡い胡桃色の長い髪にロゼの瞳。それに嬢ちゃん17だったっけか。見た目も良くて若い娘ってえのは、結構いい値がつくんだよ」
どういう神経をしているのだろう、こんな発言をするなんて。身の毛がよだつ、というのはこの状況だとリルは思った。
リルは兄のことを思い返していた。今日の朝、兄が心配してくれたことが的中してしまった。お昼に助けてくれた人のことも思い出した。
それからもっと警戒しておくべきだったと後悔した。
「なあ、もう出発していいか?」
別の声が聞こえてそちらに目をやると、そこにいたのは馬借のおじさんだった。
「どうして、あなたまで…」
「ああ、起きたってのはこの嬢ちゃんだったか」