花舞う街のリトル・クラウン
(どうしてリコリス王女がこんな場所に?)
呆然とするリルを見つけた王女は「ご機嫌よう、リル」と美しい笑みを浮かべた。
「り、リコリス様、こ、これには深い事情があって…」
取り繕う役人達は不気味な笑みを浮かべて言葉を並べていく。
けれど王女はそれを切り捨てるように一刀両断した。
「話し声が響いていると言ったでしょう、話は分かりましたわ。要するに、あなた方はシオン兄様の婚約を認めたくないのでしょう?」
図星を突かれた役人達は弁解もできず押し黙る。
それを見た王女は「仕方のない方々ですこと。まあ、いいわ」と溜め息を吐いた。
「シオン兄様の選んだお方、リルがただの平民だということが、相当気に入らないようですのね」
「り、リコリス様、そのような言い方は…」
「あら、よろしくってよ? そのような身分にとらわれる考えも、父上は排除してはならぬと仰っていたもの」
王女はにっこり笑う。その笑みが美しくてどこか怖いと感じた。
リルだけでなく、役人達も同じように感じているようで、なんとか笑顔を保とうとしているが引きつっている。
「やあ、また会えたね、美しいお嬢さん」
そんな声が聞こえたと同時に、リルの髪が少し浮いたような心地がする。
声が聞こえた方に振り返ると、シオンの弟君であるノア王子が、リルの髪をその手にとって微笑んでいる。
「ノア王子まで…!」
思ってもいなかった顔ぶれに、いよいよリルは混乱していた。
目の前にいるのは王国の王子と王女達。自分などとは到底関わることがない方々だと思っていたのだ。
呆然とするリルを見つけた王女は「ご機嫌よう、リル」と美しい笑みを浮かべた。
「り、リコリス様、こ、これには深い事情があって…」
取り繕う役人達は不気味な笑みを浮かべて言葉を並べていく。
けれど王女はそれを切り捨てるように一刀両断した。
「話し声が響いていると言ったでしょう、話は分かりましたわ。要するに、あなた方はシオン兄様の婚約を認めたくないのでしょう?」
図星を突かれた役人達は弁解もできず押し黙る。
それを見た王女は「仕方のない方々ですこと。まあ、いいわ」と溜め息を吐いた。
「シオン兄様の選んだお方、リルがただの平民だということが、相当気に入らないようですのね」
「り、リコリス様、そのような言い方は…」
「あら、よろしくってよ? そのような身分にとらわれる考えも、父上は排除してはならぬと仰っていたもの」
王女はにっこり笑う。その笑みが美しくてどこか怖いと感じた。
リルだけでなく、役人達も同じように感じているようで、なんとか笑顔を保とうとしているが引きつっている。
「やあ、また会えたね、美しいお嬢さん」
そんな声が聞こえたと同時に、リルの髪が少し浮いたような心地がする。
声が聞こえた方に振り返ると、シオンの弟君であるノア王子が、リルの髪をその手にとって微笑んでいる。
「ノア王子まで…!」
思ってもいなかった顔ぶれに、いよいよリルは混乱していた。
目の前にいるのは王国の王子と王女達。自分などとは到底関わることがない方々だと思っていたのだ。