花舞う街のリトル・クラウン
「し、しかし!」
それでもなお食い下がろうとする役人達に、「それくらいになさったらいかがです」という声が飛んできた。
そちらに顔を向けるとそこには背の高い男性が立っていた。シオンよりは年上だろう、どこか気品のある人だとリルは思った。
「テオどの!」
テオと呼ばれたその男性はシオン達を一瞥してため息を吐いた。
「王子と王女がそろって役人と大喧嘩をしていると、城内で騒ぎとなっていますよ」
それから集団の中にリルを見つけたテオは「貴女ですね」とリルに近づくと頭を下げた。
「シオン様の側近を務めております、テオと申します。以後お見知りおきを」
リルは慌てて頭を下げる。
リコリス王女にも側近はいるのだ、第一王子であるシオンにいないわけがないと思っていた。しかし対面するのは初めてだった。
しかし「初めてではありませんよ」とテオは少し笑った。
「リュートの店で、ダン・クレールを逮捕したときにお会いしました。名乗れず終いでしたが」
その言葉でリルは思い出した。
リュートの店へ春咲きのハイビスカスを持っていったあの日に確かに出会った。シオンの部下だろうかとも考えていたが、しかしまさかこんな形で会えるとは微塵も思わなかった。
「リルどののことは存じております。話の筋も理解していますよ」
微笑まれたその言葉にリルは心強さを感じた。
それでもなお食い下がろうとする役人達に、「それくらいになさったらいかがです」という声が飛んできた。
そちらに顔を向けるとそこには背の高い男性が立っていた。シオンよりは年上だろう、どこか気品のある人だとリルは思った。
「テオどの!」
テオと呼ばれたその男性はシオン達を一瞥してため息を吐いた。
「王子と王女がそろって役人と大喧嘩をしていると、城内で騒ぎとなっていますよ」
それから集団の中にリルを見つけたテオは「貴女ですね」とリルに近づくと頭を下げた。
「シオン様の側近を務めております、テオと申します。以後お見知りおきを」
リルは慌てて頭を下げる。
リコリス王女にも側近はいるのだ、第一王子であるシオンにいないわけがないと思っていた。しかし対面するのは初めてだった。
しかし「初めてではありませんよ」とテオは少し笑った。
「リュートの店で、ダン・クレールを逮捕したときにお会いしました。名乗れず終いでしたが」
その言葉でリルは思い出した。
リュートの店へ春咲きのハイビスカスを持っていったあの日に確かに出会った。シオンの部下だろうかとも考えていたが、しかしまさかこんな形で会えるとは微塵も思わなかった。
「リルどののことは存じております。話の筋も理解していますよ」
微笑まれたその言葉にリルは心強さを感じた。