花舞う街のリトル・クラウン
pieris - アセビ -
pieris【旅に出よう】
*
王国ダンディオーネ。
パルテナの一族が治めるこの国は農業が盛んだ。
街中に緑が溢れ、田舎町のほとんどには田畑がどこまでも広がっている。
それはこの田舎の村・アルトワールでも同じ。
ダンディオーネの最辺境ともいえる場所にあるここアルトワールは多種多様な花の産地として国中でも有名で、ここの花は高値で売買される。
それでどの家でもありとあらゆる花を育てて生計を立てており、この片田舎に住む少女リルの家も例外ではなかった。
この国では花は生活用品の一部だ。それはもちろん観賞の対象でもあるし、料理や医療、装飾品や贈呈品にも使われる。
この国の民にとって花のない生活なんて考えられないのだ。
そんな花の国では17歳は特別な意味を持つ。
何と言っても、スクールを卒業してこれから自分の人生を自分で決めることができるようになる年だからだ。
家を継ぐか、街に出るか、働くか、それとももっと学びを深めるためにアカデミーに行くか。
何をするのもその人の自由、その人の人生だ。
17歳の誕生日を迎えたリルも、ある一つの決断をした。
それは、幼い頃ペンダントをくれた男の子を探すために王都へ行くこと。
「リル、本当に行くのかい?」
「今さら何を言うの、お母さん」
玄関で靴を履いたリルは心配する母に笑いかけた。
「きっと大丈夫よ」
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王国ダンディオーネ。
パルテナの一族が治めるこの国は農業が盛んだ。
街中に緑が溢れ、田舎町のほとんどには田畑がどこまでも広がっている。
それはこの田舎の村・アルトワールでも同じ。
ダンディオーネの最辺境ともいえる場所にあるここアルトワールは多種多様な花の産地として国中でも有名で、ここの花は高値で売買される。
それでどの家でもありとあらゆる花を育てて生計を立てており、この片田舎に住む少女リルの家も例外ではなかった。
この国では花は生活用品の一部だ。それはもちろん観賞の対象でもあるし、料理や医療、装飾品や贈呈品にも使われる。
この国の民にとって花のない生活なんて考えられないのだ。
そんな花の国では17歳は特別な意味を持つ。
何と言っても、スクールを卒業してこれから自分の人生を自分で決めることができるようになる年だからだ。
家を継ぐか、街に出るか、働くか、それとももっと学びを深めるためにアカデミーに行くか。
何をするのもその人の自由、その人の人生だ。
17歳の誕生日を迎えたリルも、ある一つの決断をした。
それは、幼い頃ペンダントをくれた男の子を探すために王都へ行くこと。
「リル、本当に行くのかい?」
「今さら何を言うの、お母さん」
玄関で靴を履いたリルは心配する母に笑いかけた。
「きっと大丈夫よ」