花舞う街のリトル・クラウン
リルは「平気だよ」と笑って答えた。
「それより、私なんかがこの馬車に乗って本当にいいの?私はただの平民だよ」
身分差を気にするリルに近づいたシオンは、リルの額を指で突いた。少し強い力で。
そして痛がるリルに「馬鹿」と言い放った。
「久々の休日にお前とアルトワールに行くために用意させたんだぞ。というかもういい加減言うのやめろ」
シオンが溜め息を吐くのも仕方のないことだった。
久々の休日をリルと過ごそうと考えたシオンだが、アルトワールへ誘った。
しかし用意させた馬車に乗ることについて、リルが異様に気にしているのだ。
恐らくは遠慮と平民という身分を気にしてなのだろうが、シオンからすると、リルのために用意させたものであるので拒否されるのは少し悲しいことでもあった。
「お前は俺の婚約者だろ、堂々としろ」
自分で言った言葉に少し照れているのか、リルの方を見ようとはしないシオンを見て、リルは笑いそうになった。
城ではあんなに王子然と振る舞うのに、こういうところでは本当に不器用な人だと思ったのだ。
「笑うなよ」
「笑ってないよ」
「笑ってるだろ」
「笑ってないって」
そんなありふれた会話をしているうちに、馬車はアルトワールに到着した。
アルトワールに降り立つと、リルは大きく息を吸い込んだ。
土と草の匂いが漂う空気が、こんなにも懐かしい。
「あ、シオン。あそこ、行こうよ」
「それより、私なんかがこの馬車に乗って本当にいいの?私はただの平民だよ」
身分差を気にするリルに近づいたシオンは、リルの額を指で突いた。少し強い力で。
そして痛がるリルに「馬鹿」と言い放った。
「久々の休日にお前とアルトワールに行くために用意させたんだぞ。というかもういい加減言うのやめろ」
シオンが溜め息を吐くのも仕方のないことだった。
久々の休日をリルと過ごそうと考えたシオンだが、アルトワールへ誘った。
しかし用意させた馬車に乗ることについて、リルが異様に気にしているのだ。
恐らくは遠慮と平民という身分を気にしてなのだろうが、シオンからすると、リルのために用意させたものであるので拒否されるのは少し悲しいことでもあった。
「お前は俺の婚約者だろ、堂々としろ」
自分で言った言葉に少し照れているのか、リルの方を見ようとはしないシオンを見て、リルは笑いそうになった。
城ではあんなに王子然と振る舞うのに、こういうところでは本当に不器用な人だと思ったのだ。
「笑うなよ」
「笑ってないよ」
「笑ってるだろ」
「笑ってないって」
そんなありふれた会話をしているうちに、馬車はアルトワールに到着した。
アルトワールに降り立つと、リルは大きく息を吸い込んだ。
土と草の匂いが漂う空気が、こんなにも懐かしい。
「あ、シオン。あそこ、行こうよ」