花舞う街のリトル・クラウン
etmelia - エトメリア -
etmelia【春の訪れ】
*
騎士団の人の話では、リルを含め、乗客の身に怪我はないとのことだった。ただ、リル以外の人はまだ眠っているそうだが、明日の朝には起きるだろうとも言っていた。
リルが乗ろうとしていた本当の馬車が、明日の昼にここローダンに停車するらしい。乗客の人は眠りから醒めたら本当の馬車に乗ってもらうつもりだと、騎士団の人は話した。
騎士団の人に説明を受けるリルの隣で、助けてくれた男の人が黙って聞いていたのだが、どうして彼がここにいるのかリルには分からなかった。
「さっきから何だ?」
ちらちら視線を送っていたのがばれてしまい、リルの肩がびくりと跳ね上がる。
「あっ、いえ、その、分からないなと思って」
「何がだ」
「シャルクラーハにいたはずのあなたがここにいて、助けてくれたことが」
すると彼は溜め息を吐いて「関係ないだろ」と言ったが、リルはその言い方が気に入らなかった。
「はあ?そんな、何を言ってるんですか。関係ないことはないでしょ。私当事者です!」
「面倒なことになった」と苦い顔をする彼を睨みつけると、騎士団の人は冷や汗をかいて「わ、私が説明いたします!」と言った。
「ここローダンは宿場町です。それ故様々な人の往来があります。そのため、恥ずかしながら、悪人の監視がしにくい状態が続いていて、犯罪組織の拠点となりつつあります」
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騎士団の人の話では、リルを含め、乗客の身に怪我はないとのことだった。ただ、リル以外の人はまだ眠っているそうだが、明日の朝には起きるだろうとも言っていた。
リルが乗ろうとしていた本当の馬車が、明日の昼にここローダンに停車するらしい。乗客の人は眠りから醒めたら本当の馬車に乗ってもらうつもりだと、騎士団の人は話した。
騎士団の人に説明を受けるリルの隣で、助けてくれた男の人が黙って聞いていたのだが、どうして彼がここにいるのかリルには分からなかった。
「さっきから何だ?」
ちらちら視線を送っていたのがばれてしまい、リルの肩がびくりと跳ね上がる。
「あっ、いえ、その、分からないなと思って」
「何がだ」
「シャルクラーハにいたはずのあなたがここにいて、助けてくれたことが」
すると彼は溜め息を吐いて「関係ないだろ」と言ったが、リルはその言い方が気に入らなかった。
「はあ?そんな、何を言ってるんですか。関係ないことはないでしょ。私当事者です!」
「面倒なことになった」と苦い顔をする彼を睨みつけると、騎士団の人は冷や汗をかいて「わ、私が説明いたします!」と言った。
「ここローダンは宿場町です。それ故様々な人の往来があります。そのため、恥ずかしながら、悪人の監視がしにくい状態が続いていて、犯罪組織の拠点となりつつあります」