花舞う街のリトル・クラウン
「さすがオリバーだな。わざわざ頼んだ甲斐があったよ」


「お前さんにそう言ってもらえるとは光栄じゃのう。しかし時間は早いものじゃ。もう一年が経ってしまったとはのう、さぞかしご立派になられたことじゃろう」


「はは、あいつは何も変わらないさ」


彼は少し笑って、それから「オリバー、ひとつゲームはどうか?」と提案した。


「この花束を俺が誰に送るつもりなのか。娘が答えられたらフルリエルで雇う、というものだ」


リルは目を見開き、オリバーは「ちょっと、待っとくれ!」と戸惑いを隠せない。


「突然何を言い出すんじゃ、雇うのはワシなんじゃよ?遊び感覚で言うでない!」


「しかしオリバーは以前から『手伝ってくれる人がいればいいのに』というような愚痴を零していたじゃないか」


「それは孫と娘が帰ってきて手伝ってくれたらと思っただけで…」


「私、やりたいです!お願いします!」


リルは大きな声でそう言った。

2人はリルを見つめ、オリバーは困ったように溜め息を吐いた。


「どうせ無理じゃろうからな、後悔しないようにやればいい」


その言葉にリルは顔を明るくして「はい!」と元気よく返事をした。

このゲームを提案した彼は微笑んで見守っていた。けれどその微笑みは「どうせ無理だろう」と思っているような、リルを馬鹿にしているような笑みだとリルは思った。

(2人とも、私ができないって思っている。絶対正解してここ働かせてもらうんだから!)

リルはそう意気込んで花束に視線を移した。


< 39 / 204 >

この作品をシェア

pagetop