花舞う街のリトル・クラウン
「なるほどな。だが姉や恋人ではなくなぜ妹だと言い切れる?」

「フリージアは若い人に贈る花ですから、年上ではないなと。それに黄色や白のフリージアを贈るということは、その方はきっと天真爛漫で無邪気で、清い心を持ったまっすぐな方なのでしょう。それに…」

「それに?」

リルは一度深呼吸をすると、彼の目をまっすぐ見て答えた。

「あなたとオリバーさんの話を聞いて、この花束を贈る相手は、あなたよりもずっと幼い方、それをオリバーさんも昔から知っているほどの仲の方だと思ったのです。それは妹さんしかいないと思いました」

言い切ったものの、内心では心配していた。間違ってしまっただろうか、間違いならば新しい職場を探して彷徨わなければならない。働ける可能性はとても低いのに____。

リルはあまりの不安で視線を下に逸らしていた。

しかし突然拍手の音が響いて、慌てて顔を上げると彼が微笑んでいたのだ。


「正解。良く分かったな」


リルは彼が微笑むのを初めて見た。だからなのか、リルの胸はいつもより少し早く鼓動した。


「オリバー」


彼はオリバーの名前を呼んだ。リルがそちらを向くと、オリバーは渋々と言った様子で「まあ、ここにいても邪魔にはならんくらいには働けそうじゃのう」と呟くように言った。


「仕方がない。雇ってやるわい」


その言葉でリルは自分の未来が開けていくように感じて「ありがとうございます!」と感謝した。


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