花舞う街のリトル・クラウン
リルは確かにその通りだと思った。それと同時に、オリバーだからこそここまで花が輝いているとも思った。
壁の中央と右側をオリバーが、左側をリルが飾り付けた。オリバーが活けたのと同じように活けたのだ。
けれど違う。同じ花なのに、輝き方が違う。
これが花屋としての技術だろう。
花が持つ雰囲気を、色を、形を、生かすも殺すも飾る人次第だ。
大地に根付いて生きていた花を刈り取っている段階で花の命は一度失われた。
けれどこうして活けることでもう一度花に命を吹き込める。
この手のひらに花の命が託されているのだと思うと、リルは自分が頼りないと感じざるを得なかった。
自らの手をまじまじと見つめるリルを見たオリバーは「お前さんはどうやら馬鹿ではないようじゃのう」と長く伸ばしたひげを撫でながら言う。
「花の飾り付けも、素人にしては、まあ、合格点じゃ」
ぶっきらぼうなその言い方はいつもと変わらないが、それでも自分を褒めてくれるような言葉にリルは驚きながらも、「ありがとうございます!」と頭をさげた。
「でも間抜けじゃのう」
「え?」
「その指、怪我しとるぞ」
そう言われて慌てて自分の指先を見る。中指の指の腹にすっと何かで切ったような赤い線が走っている。何かの拍子で切れてしまったのだろう、じくじくと鈍い痛みが広がってきた。
「気づかなかった…」
呆然とするリルに、オリバーは呆れたように溜め息を吐いた。
「そんなんじゃ仕事にならんから治療してこい。救急箱は手押し車の中じゃ」
壁の中央と右側をオリバーが、左側をリルが飾り付けた。オリバーが活けたのと同じように活けたのだ。
けれど違う。同じ花なのに、輝き方が違う。
これが花屋としての技術だろう。
花が持つ雰囲気を、色を、形を、生かすも殺すも飾る人次第だ。
大地に根付いて生きていた花を刈り取っている段階で花の命は一度失われた。
けれどこうして活けることでもう一度花に命を吹き込める。
この手のひらに花の命が託されているのだと思うと、リルは自分が頼りないと感じざるを得なかった。
自らの手をまじまじと見つめるリルを見たオリバーは「お前さんはどうやら馬鹿ではないようじゃのう」と長く伸ばしたひげを撫でながら言う。
「花の飾り付けも、素人にしては、まあ、合格点じゃ」
ぶっきらぼうなその言い方はいつもと変わらないが、それでも自分を褒めてくれるような言葉にリルは驚きながらも、「ありがとうございます!」と頭をさげた。
「でも間抜けじゃのう」
「え?」
「その指、怪我しとるぞ」
そう言われて慌てて自分の指先を見る。中指の指の腹にすっと何かで切ったような赤い線が走っている。何かの拍子で切れてしまったのだろう、じくじくと鈍い痛みが広がってきた。
「気づかなかった…」
呆然とするリルに、オリバーは呆れたように溜め息を吐いた。
「そんなんじゃ仕事にならんから治療してこい。救急箱は手押し車の中じゃ」