花舞う街のリトル・クラウン
「これは?」

「シャルクラーハの名物料理さ。ここにきたならこれを食べなきゃあはじまらない。出来立てなんだ、いちばんうまいときを逃しちゃあいけないよ。さあ、どうだい?」

すると隣から「お嬢さん、観光客なのかい?」と若い男の人の声が聞こえた。

「可愛いお嬢さんにはこんなのも似合うと思うんだけど、どうだい?見ていかないかい?」

声をかけてきたのは快活な笑顔が似合う若い男性だった。

彼は食べ物屋の向かいの屋台でキラキラした飾り物を売っているようだ。男性自身も腕や耳にキラキラした装飾品を身に着けている。

「ここシャルクラーハだからこその品揃えさ。王都の装飾品屋にも負けず劣らずの品数、品揃え、品質。どれもこれも王都並みの一級品ばかりさ」

自慢そうなお兄さんの言う通り、店頭にはありとあらゆる飾り物が売られていた。そのどれもがキラキラ輝いていて思わず目を奪われる。

するとお兄さんは「お嬢さん、何も飾りはつけてないのかい?」と不思議そうな顔をする。

「そうですね」とリルが答えればさらに驚いた顔をした。

「本当に? 耳飾りも、髪飾りも? そいつはもったいないなあ! お嬢さんは年頃だしいちばん装飾品が似合う年だろうに。しかも、こんなにかわいらしくて美しいのに何も飾りがないなんて、ああ本当にもったいない! 装飾品屋としては居ても立っても居られないね。こんな美しい人が何も飾らないなんて」

勿体ない、と饒舌に繰り返す彼は嘆いているらしかった。

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